インターネットの普及に伴い、PDFは「電子の紙」として、個人ユーザーから官公庁まで、日本だけでなく全世界で共通のファイルフォーマットとして使われています。
インターネット上で、情報を配信するときのファイルフォーマットにPDFが用いられることが多くなっています。パソコンについてあまり知識のない人でも、PDFを開くためには、「Acrobat Reader(Adobe Reader)」が必要だということを理解していることが多いようです。 ここでは、PDFは閲覧するだけのものと思っている人のために、「PDFでできること」をご紹介します。 ![]() ![]() ![]() ![]() PDFは、その仕様が公開されている、オープンフォーマット。提唱者である米アドビ システムズ社だけのものではありません。誰でもPDFを作ることができ、誰でもPDFを見ることができます。ワープロ、グラフィック、表計算など、ほとんどのアプリケーションで作成された文書をPDFに変換することができます。そして、PDFは、WindowsやMacintosh、PDAなどの携帯端末でも、無償配布されている「Acrobat Reader(Adobe Reader)」がインストールされていれば誰でも見ることができるのです。 「Acrobat Reader」は1994年に無償配布が開始されてから、5億本ものダウンロード実績があり、世界中の人々が利用しています。PDFは、一部の人々の判断や政治的な配慮から広められたものではなく、必要なテクノロジーとして一般ユーザーに支持され、公共の利益のために価値が認められたファイル形式なのです。 ![]() ![]() ![]() ![]() 「紙に代わる電子の紙」として文書の閲覧、印刷することを可能とする共通の文書交換フォーマットとして開発されたPDFは、マルチプラットフォーム仕様。Macintosh、Windows、UNIXなどといった異なるパソコンだけでなく、PDAなどの携帯端末や将来は携帯電話などでも、オリジナルの文書どおりに見ることが可能です。 その標準化の大きな要因が、PDFのデータにフォントを埋め込むことができることにあります。 通常、文書内で使っているフォントが別のパソコンに入っていない場合、そこでは代用フォントを使って表示することになります。そのため、きれいに表示されなかったり、ひどい時には文字化けをして、文章が全く読めないケースさえあります。 PDFはフォントを埋め込む、つまり文字そのものにフォントの「形状」を持たせることができるため、そのフォントが入っていないパソコンであってもオリジナル文書のまま美しく表示し、印刷することができます。これによってフォントの問題も、一挙に解決したのです。 ![]() ![]() ![]() ![]() PDFが通信に活用される理由が、その小さなファイルサイズ。 PDFは文書のコンテナとしての役割を果たすため、最適な圧縮方法を選択し、コンパクトで動かしやすい最適なファイルサイズを保つことができるのです。 例えば、10MBのWordファイルをPDFに変換したとします。変換後のファイルサイズは、500KB。ほぼ20分の1のサイズに圧縮できます。 またPDFには各ページに「ラベル」がつけてあり、このラベルを表示する「テーブル」(いわばラベルだけを記載した一覧表のようなもの)を持っています。 そのテーブルを参照することで、素早く検索し、目的のページにアクセスすることが可能です。 しかもページ順に関係なくアクセスするランダムアクセスなので、1ページ目から順繰りに確認する必要がなく、効率よくすぐに100ページ目にアクセスすることができるのです。 これによってPDFはコンパクトであるだけでなく、文書内のページやネットワーク上にあるPDFのページに素早くアクセスできることから、Web配信にも優れたファイルとなっています。 ![]() ![]() ![]() ![]() 「電子の紙」であるPDFは、紙でしかできなかった署名捺印による運用のほか、実際の紙ではできなかったセキュリティをかけた運用も可能。「e-Japan構想」の電子政府において、PDFがキーテクノロジーとして注目されている最大の理由です。 PDFではその生成段階で、改ざんできないのはもちろん、印刷制限など、さまざまなレベルでのセキュリティ設定を備えているのです。 セキュリティをかけておけば社外に配信しても安心。さらに電子署名の機能を使えば、社内共有文書や署名捺印が必要な回覧書類を、安全で確かに運用することができます。 ![]() ![]() ![]()
PDFは、共同作業を効率化します。
PDFはオリジナル文書の「文書層」と、文書に付け加える注釈などの「付帯情報層」の2つの層に分離されています。 「付帯情報層」には、メモを付加えたり、付箋やしおりを使った紙と同様の運用で、文字の削除や訂正といった校正を付け加えることができます。 このようにメモを加えていった文書は、一見すると内容が改ざんされてしまったようにも見えますが、実際には「付帯情報層」に加えられたもので、「文書層」のオリジナルのデータはそのままのかたちで保存し、変更部分を「履歴」として追加していく構造になっているのです。 例えば、オリジナルデータを「0」とすれば、履歴が増えるごとにバージョンが1、2、3…とあがっていくだけなのです。 ![]() 従来、ファックス送信や印刷した校正紙を使って行っていた校正作業を、PDFのオンライン校正によって、大量に必要だった用紙を削減し、時間も短縮。経費の削減や作業効率を高めることが可能になっています。 ![]() ![]() ![]()
PDFで、コストを削減できます。
例えば、社内共有文書をWordやExcel、PowerPointで作成するという取り決めをしたとします。しかし、Word2000とWord95の間では、完全な互換が保たれない場合があります。つまりいま作成した文書が将来的に読み出せる保障がないのです。そこでアプリケーションのバージョンを統一してアップデートしていく必要が生じ、とくに社員の多い大会社ではソフトウェア投資が膨大になってしまいます。 共有文書をPDFにしておくという取り決めをしておけば、オリジナルの文書を作成するアプリケーションは、Word、Excelでも、あるいは一太郎でも何でもよいわけですから、新旧バージョンにかかわらず、任意のアプリケーションが使用でき、TCO(Total Cost of Ownership)の削減につながるのです。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() PDFは「文書の画像化」ではありません。スキャニングした文書とPDFの大きな違いは、PDFは「テキスト情報」と「グラフィック情報」を区別できることです。 それにより、テキスト情報を使って文書の内容を検索したり、テキスト、グラフィックの必要な部分をコピーして他のアプリケーションへ活用できます。 なかでもMicrosoft Officeとは緊密に連携しており、Word文書として保存したり、表データとしてExcelで再利用が可能です。さまざまな形式のデータファイルをPDFに変換することによって、文書を有効に活用していくことが可能になるのです。 ![]() |
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